常に原点に立ち返る

最近、妻の夢を見ます。

 

 僕が家族と別居して、加害更生プログラムに参加してから約4年半の月日が経ちます。

 毎月9回、1回2時間、参加日数は延べ322回になります。

 

 グループがない日も、日々プログラムでの学びを意識した生活をしています。毎朝、通勤時に身につけたい7つの習慣と致命的な7つの習慣を小声でつぶやきながら駅まで歩く。日常でカインドフルネスを意識して行動する。仕事上で議論をするときにはアティテューディナル・ヒーリング(AH)を意識して、相手の声に耳を傾けるようにしています。

 グループに参加するたびに提出する気づきノートを意識して、感動したこと、恵まれていると感じること、感謝したことも1日1項目は書き留めています。

 

 このような生活をしているからか、加害更生プログラム参加以降の心情の変化や言動の変化を実感することができるようになってきていると思います。言い方は変かもしれませんが、自分が真っ当な人間になってきたように感じることもあります。

 ただ、その変化ばかりに自分の目が向いていると、なぜ自分が加害更生プログラムに参加しているのかが曖昧になってしまうと感じることがあります。

 

 最近見る夢の中の妻は、とても素敵な笑顔で僕に話しかけてくれます。僕が彼女に暴力を振るう前の優しくて屈託のない笑顔を僕に向けてくれています。僕は夢中で、妻と楽しく温かい時間を過ごしています。そう、夢の中では、ふたりの間に僕の暴力はなかったことになっています。僕の見る夢は、まだ子どもが生まれる前、僕が妻と会った頃のことばかりです。

 

 妻の夢を見た翌朝の僕は、温かい気持ちの余韻とともに別居の現実にナーバスになってしまいます。せっかくの幸せな気持ちが台無しになる、でも、その現実こそ僕が忘れてはいけないことだと気づきます。

 

 僕は妻に暴力を振るってしまいました。

 怒鳴りつける、物を投げる、存在を全否定する、彼女の人生を台無しにしてしまいました。

 彼女と出会ったとき初めからそのようなことをしていれば、彼女も僕と結婚することはなかったでしょう。 幸せになれると信じて結婚した彼女の気持ちを踏みにじってしまいました。信じた相手に裏切られる彼女の気持ちを想像すると本当に申し訳なく思います。

 

 僕が加害更生プログラムに参加してこれまで学んできたことや実践していることは、これまでになかった視点と価値観で、僕の人生に大きな影響を与えてくれています。加害更生を信じてくれている妻に対して、僕は行動を示す責任があります。口先だけの言葉など何の意味もなさないと思います。

 

 何のために学んでいるのか、常に矢印は自分に、を意識してこれからも学び続けたいと思います。

 

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